最近ノハナショウブの話題ばかりなのですがシーズンなのでお許しを…
今日は藤崎農場のハウス内にある系統保存園で非常に珍しい変異個体が開花しました。
青森県内のとある自生地で県と地元自治体の許可を得て採取した個体なのですが
「糸覆輪」という花弁のふちが白色に縁取られる変異です。
内花被もピンと立ち、花柱枝の先端も2つにわかれて蜘蛛手を呈すかわいらしい個体です。
ノハナショウブの中ではほとんど見つかっていなく、弘前大と玉川大の共同研究チームでしか報告がありません。
ハナショウブの「品種」群の中にはアメリカ人によって育成された‘Immaculate Glitter’(玉川大の田淵先生のHPの写真にリンクしています)のように外花被片に白覆輪を呈する品種が存在します。
また、この形質を基にして多くの品種が育成されています。
しかし、これまで白覆輪を示すノハナショウブが確認されていなかったことから、
白覆輪を呈す品種群がどのように作出されたのかは全くの謎でした。
そのようななか、我々の調査でノハナショウブの中にも糸覆輪の変異個体が存在することが
明らかになってきたので、糸覆輪を呈す品種も、このようなノハナショウブの変異個体を基に作出されたのではないだと考えられるようになりました。
これも、豊かな自然があり、豊富なノハナショウブ自生地を持つ青森県で研究できたからこその成果だと思います。
ノハナショウブも、それを育んでいる周辺の自然、どちらも大切にしたいですね。
ところで、今回の系統保存園で咲いた変異個体はそもそも別の形質に目をつけて
採取した個体でした。
採取したときはすでに花は散りかけていて、糸覆輪の変異には気づきませんでした。
2年を経て再び開花。
そうしたところ、この様な素晴らしい研究材料を提供してくれました。
ノハナショウブについて頑張って研究しているのでノハナショウブの神様が喜んでご褒美をくれたのでしょうか?
ありがたいです!!
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